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Ever tried. Ever failed. No matter.
Try again. Fail again. Fail better.

Samuel Beckett “Worstward Ho” (1983)

work

黙りなさい

鶴飼はれどなたさまであれ着衣
長考の白さの蛇よ穴を出て
とことはに踏む霜柱押す呼び鈴
万里霞み口中霞む独りかな
白梅よ散りなさい廃船よ黙りなさい
生クリイムをいぢめてをるのだ山笑へ
九九唱ふ晩霞の檻のこちら側
去る魚のまだそこにゐる寒さかな
胎児にもまつ毛ありとや草に雪
涅槃西風ゆりかごには片脚しか入らず
春暑しその牛はどの牛だつたつけ
等高線すなはち曲線彌生雨
春の日や壺はうつろに耳ふたつ
椿咲きやまず手綱に馬は無く
末黒野や知らない家族また出てくる

「円錐」第73号(2017年4月30日発行)掲載


  どこへやら

春塵を五体こぼさぬやう来しが

土筆摘むそれぞれちがふ鍵を持ち

吽形のまま落つもあり花椿

啓蟄や目薬さすに口を開け

くちびるのある者つどひ潮干狩

臍の緒は今どこへやら大根抜く

おぼろなる海に落日鼻に穴

古い家に住んでいる。明治初期の建造。東日本大震災で全体が傾く。床下と屋根の全てを修復、外装工事は来年に予定。何もしなければ朽ちてゆく。何かをすれば必ず変化してしまう。古いものとのつきあいは、難しく、面白い。

「俳句」 平成29年3月号


にんげんの手を摑んだる砂遊び

名月や背をなぞりゆく人の鼻

ひとさまに剃らるる顔や雲の峰

焚き火より手が出てをりぬ火に戻す

口から出す要らない骨よ秋彼岸

「俳句あるふぁ」平成29年4-5月号

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