work

  どこへやら

春塵を五体こぼさぬやう来しが

土筆摘むそれぞれちがふ鍵を持ち

吽形のまま落つもあり花椿

啓蟄や目薬さすに口を開け

くちびるのある者つどひ潮干狩

臍の緒は今どこへやら大根抜く

おぼろなる海に落日鼻に穴

古い家に住んでいる。明治初期の建造。東日本大震災で全体が傾く。床下と屋根の全てを修復、外装工事は来年に予定。何もしなければ朽ちてゆく。何かをすれば必ず変化してしまう。古いものとのつきあいは、難しく、面白い。

「俳句」 平成29年3月号


にんげんの手を摑んだる砂遊び

名月や背をなぞりゆく人の鼻

ひとさまに剃らるる顔や雲の峰

焚き火より手が出てをりぬ火に戻す

口から出す要らない骨よ秋彼岸

「俳句あるふぁ」平成29年4-5月号