第六回円錐新鋭作品賞募集要項

*未発表の俳句作品20句をお送りください(多行作品は10句)。

*作品にはタイトルをつけてください。

*受付開始 2022年1月15日

*締め切り 2022年2月15日

*年齢・俳句歴の制限はありません。

*受賞作品は「円錐」93号(2022年4月末日刊行予定)に掲載いたします。

ご応募の際には、お名前(筆名・本名)、ご住所、メールアドレスなどの
連絡先をお書き添えください。折り返し、編集部より連絡申し上げます。

作品送付・お問い合わせ先  ensuihaiku@gmail.com

円錐91号(2021/10/30発行)

特別作品

びーどろ絵  栗林浩
辺土通信87  味元昭次       
白夜     山本雅子

円錐の一句

三寒四温除霊されちゃったパン 井口可奈 /山﨑浩一郎 
火を仰ぐ人人柱人柱 山田耕司 /今泉康弘 
東京へ柚子の大馬鹿送りけり 味元昭次 /澤 好摩 

バックミラー

同時代俳句は何故書かれたのか /依光陽子(特別寄稿)
動く季語について考えてみた /後藤秀治
大切な下五 /栗林浩

俳句トス

男老いて男を愛す葛の花 永田耕衣  

セッター 澤好摩/スパイカー 矢上新八

さびしさは星をのこせるしぐれかな 飛鳥田 孋無公

セッター 田中位和子/スパイカー 和久井幹雄

冬籠心の奥のよしの山 与謝蕪村

セッター 山本雅子/スパイカー 横山康夫

澤好摩 河口聖 句画展鑑賞記    来栖啓斗

詩学シリーズ 稲妻の詩学 今泉康弘

同人作品 江川一枝/摂氏華氏/荒井みづえ/立木司/小倉紫/矢上新八/後藤秀治/丸喜久枝/原田もと子/大和まな/澤好摩/田中位和子/横山康夫/三輪たけし/山﨑浩一郎/和久井幹雄/小林幹彦/橋本七尾子/山田耕司/今泉康弘/来栖啓斗

同人作品評  山田耕司・澤好摩

中矢温「はい」

今泉康弘 推薦第三席

信号が長くて鳩を見てしまふ
見て仕舞ふ液晶割れてゐていつも
ゐていつも欲しいアボカドでも足りる
でも足りるなら呼ばなくて二人きり
二人きりがじと歯形をストローに
ストローに唇運ぶ映画館
映画館から見えつぱなしの居酒屋の
居酒屋のハンガー譲りあうて勝つ
会うて勝つだけ指相撲君からの
君からのリンク長くてよいサイト
よい犀と世界の国旗覚えたし
覚え足しナンプラーか料理運ばれ
料理運ばれ端に押しやる旧手帳
古手帳たしか落としてダム近く
ダム近く化けて私と犬は鴨
犬は鴨見たまま散歩まつすぐに
まつすぐにまつくら吹かすマフラーを
マフラーを巻いて荷物を軽くする
軽くするつもりで短すぎる髪
過ぎる神さまのアンテナ信号が

夜行「飼ひならす」

今泉康弘 推薦第二席

沈みゆく重油いそぎんちやくは花
放課後のぶらんこにしたがつてゐる
啓蟄の肉がケバブとしてまはる
山笑ふ心理テストの何問目
エイプリルフール毛抜きの可動域
さかさまはどつちくらげとわたくしと
噴水やピエロのボール二つ三つ
あまやかに黴あり祖父の蔵書印
近づいてここからは滝だと思ふ
蚯蚓のたうつて癖字のごときなり
八月や島いつぱいに雲の影
牛の胃を磁石のすべる残暑かな
赤血球ぽこんと生まれ今日の月
憂鬱なテーブル林檎置いてより
めそめそと銀木犀の匂ふ夜
太陽はからつぽ鯨ねむりをり
四階にピラルクとゐて遠き火事
枯蔦の支へるビルでありにけり
寒波来てかかしのあつた穴のいろ
雪だるまに足は与へず飼ひならす

五十嵐一真「真昼の手帳」

山田耕司 推薦第三席

趣味があることがやましい新社員
春の風邪昼のテレビに暮らしあり
ヒヤシンスためらひ傷のすぐ治る
蜃気楼無言でできる指遊び
亀が鳴くときの気持ちをおしはかる
アイスティー昼の句作に飽きてきて
パラソルを広げて海に帰ります
好きだつたビデオテープがカビてゐる
蚊を打つていまほど打つた蚊のはなし
前を行く人から盗む踊り方
また別の胡桃を剥いてまた口に
手に菊や喪服の中はくたびれる
眠くなる家具屋のはなし小鳥来る
ザッピング相撲が早く終はればな
コスモスや諦めきつた患者たち
小春日のうずら崩さぬやうに抱く
外に出てスキー客にはよい笑顔
雪催遊具貧しくなりにけり
冬埃バブルの頃の変な本
跳び箱に獏の臭ひや去年今年

綱長井ハツオ「ズキズキ、キリキリ、ムカムカ」

山田耕司 推薦第二席

汗臭く重く悪夢ばかりの蒲団
唇の剥がれて白し神渡し
蟷螂枯れて血でも水でもなき臓腑
椅子の螺子ゆるし勤労感謝の日
山茶花やこむら返りに似た怒り
歩くより早く時雨の去りにけり
冬凪や鴉の羽根がとんと浮く
鋭さを増して枯木の枝千本
霙るるやコンビニの自己啓発書
バファリンの裏側平ら虎落笛
宮線を添えて程よく固き痰
クリスマス身体のどれほどが空洞
手袋で覆う手首の脈までを
雪掻す腕は骨より太きもの
海側の者から暮れてうつた姫
冬暮光マリモほこんと弾みけり
牡蠣フライ食いぬ牡蠣見ることもなく
食道は肺のすぐそば滑子汁
キスシーン長しストーブまだ臭し
師走師走フッと冷たくなるシャワー

内野義悠「抜錨」

澤好摩 推薦第三席

抜錨の濁りをとほく春の雪
胎名を授けてよりの水温む
花朧秘めごとは寝言に漏るる
スヌーズを繰り返しかげろふの中
はうれんさう湯掻き泳がしてゐる嘘
春の雨筋膜ほわと剥がれゆく
鳥雲に始まつてゐる倦怠期
初夏や原色のバブ浮かびくる
みどりの夜言葉ひたひた交はし合ふ
編集に増ゆる笑声せんぷうき
氷菓染みたりママ友に派閥あり
大夕立去り総身の血の軽く
二百十日小刻みな上書き保存
飛ばせない動画広告小鳥くる
檸檬搾りてぱつちりとドライアイ
間に合つてしまふ女子会ピーナッツ
プラレール脱線したる小春かな
鯛焼を分け合ひ赦してはをらず
逸らす眼や雪兎また固く締む
人住まぬ住所あふるる都市に雪