第一回 円錐新鋭作品賞 

第一回 円錐新鋭作品賞


 花車賞(澤好摩 推薦)

「目線は高く」 谷崎佳奈美                →読む


白桃賞(山田耕司 推薦)

「総国(ふさのくに)」 佐藤文香             →読む


うずまき賞(高柳蕗子 推薦)

「プレイステーションの起動音」 井口可奈         →読む


 

 

推薦句                          →読む


俳句同人誌「円錐」第73号誌上にて発表(2017年4月30日発行)

第一回 円錐新鋭作品賞 推薦句


澤好摩 推薦

霾やゴール運ぶに総出して   大川原弘樹

鳥の巣に鳥をらぬ日日はじまりぬ   山田露結


山田耕司 推薦

同性の抱擁つづく涅槃西風   夏木久

どけじゃまはる血ん血んしねつーとるな   早計層


高柳蕗子 推薦

凩やささくれむけば若い肉   伊東光穂

かりんとう袋パンパン盂蘭盆会   シシオ澤ガイ


白桃賞 「総国(ふさのくに)」 佐藤文香

白桃賞(山田耕司 推薦)第一回 円錐新鋭作品賞


ゆまりしてあかざは指に挟む花

幾山河透かして蟬の羽乾く

石英の太き尖りも夏のもの

坤王林の麵麭焼きにけり

あさがほのたゝみ皺はも潦

絵蠟燭件の人の来て帰る

月かげのもつれて淡し雁擬

海原の微塵に冬の来るなり

木に枯れて葉の手ざはりの日と思ふ

日輪に縮むうつゝや初筑波

羊日や干瓢ほどき昆布ひらく

手庇の手がよく見えて葱畑

まんぢゆうや水戸街道を休みつゝ

手賀沼の光とほのく卍かな

姫君や貌鳥に喩を教へこむ

白梅にうすき眉根のまじなひ師

春風や手鏡ごとの鼻の穴

あをぞらをあなくきやかにやまひだれ

石楠花よ光溜りの目のやり場

つちくれを流るゝ水や手に手旗

うずまき賞 「プレイステーションの起動音」 井口可奈

うずまき賞(高柳蕗子 推薦) 第一回 円錐新鋭作品賞


さかだちのきかないここは衣更

電源を引いてきて秋だれもない

アイロンのスチーム機能のちの月

ケーブルの跡ある通信進化かな

頭痛ばかりの街です春日万灯籠

内輪差点線で描く春隣

立春やまたスクロールバー探す

三寒四温除霊されちゃったパン

発熱のすくない明かり卒業生

パスワード10桁超える大晦日

モロゾフのコップの中身春浅し

骨なしが骨より多い冬の虹

あごのせるところにあごをのせる春

紙皿に爪跡がある虫払

夏期講座ばんそうこうを持っている

舞茸が決めた光学スペクトル

充電器いきをひそめる冬の波

置いているだけのふたあり年の内

延髄をひらいてみれば花の冷え

志望動機はありません白牡丹

花車賞 「目線は高く」 谷崎佳奈美

花車賞(澤好摩 推薦)


「目線は高く」    谷崎佳奈美

 

帯締めて目線は高く風薫る

ちぐはぐに母は装ひ日々草

参道の砂利音沈む夏の雨

青柿の落つるや遠く水の事故

薪を割る音乾きけり秋の空

各々に時のうつろひ芙蓉咲く

城山の大樹透けゆく蟲の声

磨ぎ汁のさらりと澄みぬ秋の夜

能面の角度よろしき良夜かな

物置きと化す二階部屋冬に入る

焚付けに暦を破る師走かな

電飾は期間限定枯木立

もみがらに抱かるる卵冬うらら

大雪の降る夜あなたが生まれたの

短日のひかりを渡る歩道橋

大楠は木霊を宿し冬の空

老木の持てる力や梅白し

見納めの制服姿山笑ふ

すり鉢を支へるお役春うらら

雲梯山に桜の多きかな

 

丸 喜久枝 句集『青鷹』 上梓

円錐同人 丸 喜久枝 句集『青鷹』が出版されました。
啓蟄やいつでも乗れる縄電車
夫の座は子の座となりぬ小豆粥
富有柿独りは眠くなりにけり
秋の日に透く一粒のかたつむり
曼珠沙華動くともなく雲うごく
地吹雪の中の浄土に人けむる
炎天や石の急所に楔打つ
捨て水に女の匂ひ黄水仙
ぜんまいのうなづきあうてほぐれけり
ゆつたりと神の高さに青鷹(もろがへり)

2017年3月15日発行 300部限定(私家版)
著者  丸 喜久枝
発行所 書肆麒麟
装丁  川口 聖
印字版作成 邪馬猫亭

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