白桃賞(山田耕司 推薦) 第四回 円錐新鋭作品賞
風光る底のきれいなモノレール
鳥かごのほうれん草の濡れてをり
噴水の跡地にたてる指揮者かな
アイスコーヒー履歴書の端ぬれてをり
五歳ほどの人形をどる木下闇
あめだまを舐めつつシャワー浴びてをり
長梅雨や視力検査のしつこくて
法廷の小窓をのぞく日焼顔
猫にゑさしぼりだしたる盛夏かな
クーラーや適当にかくアンケート
ステージの両端にゐる水着かな
冷房の風に不安をそそられり
壺の湯の順番待ちの裸かな
走りつつ交尾の牛や露の秋
蚯蚓鳴く戦争ものの古本屋
さはやかやスワンボートのなかは船
男性はこぶしをひざに秋の暮
サンタのシール貼られて中華弁当よ
しはぶけばのどの奥より海かをる
門松やうどんにつける小ビール