佐藤研哉 「だんだん」

第10回円錐新鋭作品賞 山田耕司 推薦第二席

着ぶくれてジェットタオルの三番手
轢いてないはず枯蟷螂だったはず
冬木立どれも禁帯出である
見学者居る極月の歯科治療
懐炉持ち替えて点字の読めそうな
突っ張り棒担ぎ枯野をまっすぐに
年の夜のブルーレットを抜ける水
嗅がせあう珈琲館の福袋
have toの消えた濁音雪女
悪い夢だった? とコート飛んでくる
麦踏んでだんだん電柱にひげ根
つばめ来るピザカッターの刃は樹脂製
苗札のひらがなにルビふってあり
しゃぼん玉県民の日がふいに来る
ダイソーの凧に拐われそうな君
春霖に惰性の雨は見当たらず
歯ブラシ右に咥えなおして子猫抱く
春の月ひみつ道具を無音で出す
口紅べったり花冷えのハーモニカ
一人称ヒトより多くおぼえて蝶