第10回円錐新鋭作品賞 今泉康弘 推薦第二席
みどりごにみだらななつのせまりくる
百物語にこゑ奪はれるきみと遇ふ
死ぬまでを心臓の夕立であふれてる
息継ぎせずに泳ぎきつても太閤忌
ぼくの痣ほどに苺の輝けり
父系が蛇でじきにちぎれる
いなづまや見るは盗むも殺すのも
火の街で熟柿爛れるやうに病む
ひつそりと世界が夜学されるまま
引力へ従ふ柚子のにぶさだね
みるみるとめいるげいずの銀河濃し
天使麻痺する光のなかの冬ごもり
狙はうよ月の病となるうさぎ
マフラーに殺意のぼくを締めにけり
スケートの刃に燦々とした今ぞ
着ぐるみまばたくくるしみのかれ葎
かんがへず涙に嵩のある日永
蜂の巣を舐めればもどる視力かな
どぐらまぐらと桜の痩せてゐてきれい
春の夜を生きのびていき延びて ぼく
