花車賞 「目線は高く」 谷崎佳奈美

花車賞(澤好摩 推薦)


「目線は高く」    谷崎佳奈美

 

帯締めて目線は高く風薫る

ちぐはぐに母は装ひ日々草

参道の砂利音沈む夏の雨

青柿の落つるや遠く水の事故

薪を割る音乾きけり秋の空

各々に時のうつろひ芙蓉咲く

城山の大樹透けゆく蟲の声

磨ぎ汁のさらりと澄みぬ秋の夜

能面の角度よろしき良夜かな

物置きと化す二階部屋冬に入る

焚付けに暦を破る師走かな

電飾は期間限定枯木立

もみがらに抱かるる卵冬うらら

大雪の降る夜あなたが生まれたの

短日のひかりを渡る歩道橋

大楠は木霊を宿し冬の空

老木の持てる力や梅白し

見納めの制服姿山笑ふ

すり鉢を支へるお役春うらら

雲梯山に桜の多きかな

 

丸 喜久枝 句集『青鷹』 上梓

円錐同人 丸 喜久枝 句集『青鷹』が出版されました。
啓蟄やいつでも乗れる縄電車
夫の座は子の座となりぬ小豆粥
富有柿独りは眠くなりにけり
秋の日に透く一粒のかたつむり
曼珠沙華動くともなく雲うごく
地吹雪の中の浄土に人けむる
炎天や石の急所に楔打つ
捨て水に女の匂ひ黄水仙
ぜんまいのうなづきあうてほぐれけり
ゆつたりと神の高さに青鷹(もろがへり)

2017年3月15日発行 300部限定(私家版)
著者  丸 喜久枝
発行所 書肆麒麟
装丁  川口 聖
印字版作成 邪馬猫亭

応募してくださったみなさまへ。

メールでご応募の方には、かならず「受け取り」のメールをお送りしています。また、編集部より「書面PDF」を送り、著者校正をお願いしているところです。「あれ、送ったはずなのに何のリアクションもないよ」という方は、どうぞ 円錐編集部 へご連絡ください。

「円錐」について

1991年(平成3年)5月
澤好摩・山田耕司を中心に東京で創刊。
2016年(平成28年)7月
通巻70号に達し、かつ、創刊25周年を迎えた。

発行人 澤好摩

編集人 山田耕司・今泉康弘・澤好摩

季刊(年4回発行)

 


「円錐の二十五年」  澤 好摩

「円錐」70号(2016.8.15発行)より転載

【沿革と事務担当】

「円錐」は平成三年に創刊。この号をもって70号となる。編集は創刊号より61号までが澤好摩、62号より山田耕司が担当。それを補佐する立場の編集委員としては今泉康弘、橋本七尾子、澤好摩がおり、発行・会計業務は澤好摩が担当する。

【創刊同人】
創刊同人(かつ、長期にわたって在籍の同人)は、今泉康弘、糸大八、斎藤康子、澤好摩、橋本七尾子、味元昭次、矢上新八、山田耕司、横山康夫の九名。

【主な特集一覧】
「俳句にとって〈新しみ〉とは何か」創刊号
「俳句の〈読み〉とわが現在」3〜5号
「近代俳句再発見」14、15号
「俳句と映画」20、21号
「俳句作品における〈実感〉とは」26、27号
「高屋窓秋と現代俳句」29〜31号
「俳句における青春性」41、42号
「平成における無季俳句」46、47号
「戦後派俳人の出発と終焉」50、51号
「俳句における恋」53、54号
「高柳重信」57〜59号
「追悼・糸大八」臨時増刊号
「澤好摩という座標」62号
「小特集/原田浩佑」63号
「前衛よさびしくはないか」64、65号
「昭和が遠くなりません」65〜67号
「戦後派俳人作品鑑賞を鑑賞する」68、69号

【連載】
今泉康弘「山口誓子から西東三鬼へ、または『戦火想
望俳句』発生編」18、19、22、23号
今泉康弘「青い街 松本竣介と街と新興俳句」25〜28号
今泉康弘「地獄絵の賦 地獄絵から戦火想望俳句へ」
30、31号
今泉康弘「新興俳句の誕生」 34〜38号
栗林浩「林田紀音夫探訪」37〜39号
今泉康弘「エリカはめざむ 渡邊白泉の沼津時代」40
〜45、48、49、51〜53号
栗林浩「ルポ的飯島晴子論」42、43号
栗林浩「入門・摂津幸彦と田中裕明」46〜50号
今泉康弘「どれだけ絶望したならば恋を詠えるのか」
54〜57、60、61号
今泉康弘「月下の伯爵 リラダンと重信」57〜59号
小林恭二「澤好摩作品鑑賞」62〜65、67、 68、70号

【創刊以来の同人の出版物】
平成6年 糸大八句集『蛮朱』
橋本七尾子句集『仙臺』
平成7年 味元昭次句集『天魚』
斎藤康子句集『雀色時』
江川一枝句集『五十六句』
平成12年 横山康夫句集『櫻灘』
平成19年 栗林浩著『俳人探訪』
平成20年 澤好摩句集『風影』
横山康夫句集『天體』
栗林浩著『続俳人探訪』
長岡裕一郎句集『花文字館』
平成21年 現代俳句文庫『澤好摩句集』
平成22年 山田耕司句集『大風呂敷』
平成23年 栗林浩著『京大俳句会と東大俳句会』
栗林浩著『続々俳人探訪』
糸大八句集『白桃』
平成25年 澤好摩句集『光源』
栗林浩著『俳人澁谷道』
栗林浩著『新 俳人探訪』
平成26年 栗林浩著『俳句とは何か』
平成27年 佐藤獅子夫句集『海坂』
荒井みづえ句集『絵皿』
矢上新八句集『浪華』
澤好摩著『高柳重信の100句を読む』

【現在の同人】(70号現在)
荒井みづえ・今泉康弘・入船誠二・江川一枝・小倉紫・梶原ひな子・栗林浩・後藤秀治・佐藤獅子夫・澤好摩
・柴勇起男 ・田中位和子・橋本七尾子・原田浩佑・原田もと子・味元昭次・丸喜久枝・三輪たけし・宮﨑莉々香・矢上新八・山田耕司・大和まな・横山康夫・和久井幹雄の24名

【物故者】
長岡裕一郎 平成20年4月30日没 54歳
糸 大八  平成24年3月9日没 74歳
伊藤華将  平成24年夏  没年不詳