第10回円錐新鋭作品賞 赤羽根めぐみ 推薦第二席
あまりたる牛脂とバレンタインの日
ひそひそと外す彼岸の電球を
霾れり書く字に線の交はれば
秀吉に百の謬説花うつぎ
風鈴を掻き分け風鈴を選ぶ
愛を説く蛞蝓の歯軋りの中
遠く来て返せぬ傘を持つ暑さ
常識を偏見にするメロンの夜
ギガ使い切りし従兄の夏座敷
きしきしと紙魚鳴く鉄道資料館
汚せぬ光ありぬべし原爆忌
星々にみづのきざはし桃を剥く
しりしりと疼く関節芒原
水脈の魁として流れ星
金柑にリボンをつけたやうな人
脚立てふ小さき舞台や松手入
み仏の鼻腔あかるし冬日差
山躑躅覆い被さるやうに枯る
将棋倒しのはじまりは狐火か
校章の錆びし冬日の朝礼台
