第10回円錐新鋭作品賞 赤羽根めぐみ 推薦第三席
春風や家壊すとき窓をまず
いかにして蝶は轢死に至つたか
四月冷たし人工甘味料のやう
夏草や橋は車を淀ませて
森薫る滝壺のみづ痛からう
金星と双子の星の大夕焼
みづ叩くとも抱くともバタフライ
幾千のをとこ乾かす扇風機
雑に剥く梨が鳥肌立ててゐる
鰡群るるタウ蛋白の溜まる街
むかごめし老爺の軽き旅鞄
食堂に犬の遺影や秋の雨
後の月象舎の壁が象の色
できたての淡路島めく牡蠣を喰ふ
石仏の風化の顔や日短か
暖房の弱き地域史展示室
献体のやうに聖夜の寝ころび湯
ブロッコリー嬉しげに咲く野菜室
土匂ふ産まれくるものみな濡れて
春光を弾く車や立ちすくむ
