吉冨快斗「遮断機壊してまわる」

白桃賞 (山田耕司 推薦)

遮断機壊してまわるきみに緑の痣をやる
舌切られてもボンデージ平仮名なら甘い
口でレースの下着剥ぐとき放銃の記憶が
培養肉食べるきみに来る初夜何度何度も
目蓋の裏に揃いの刺青を彫る夢見て寝る
熱病の児すぐ手袋へ変わる未分化の秋よ
火焔瓶に性交渉交渉人の実印詰め投げる
河消えもしよもしよと蛋白質咥える母子
フロー図を書きながら真赤な日思い出す
朝寝坊暴動は明後日に伸ばしてまた布団
睫毛食べあうそのたびに禁煙しています
カヌレがたまに固くて柔らかいスポンジ
星間無線きみ真白い声で反革命を口遊む
きみは別だけど損切りばかりするおれ犬
上着に豆乳溢しても念のため粋がる事後
きみ嫌ってた一般性高い幕張で寝具買う
形が無いと知れば尖らず丸まらず大人か
欲だけ追ってみるか!みたいな青年あり
金に目がない死にたくない詩人然として
小さなゴミ袋使い始めてからなんだか春